霧の降る朝

 シュリンクの「逃げてゆく愛」(松永美穂・訳 新潮社)の『少女とトカゲ』の一節。
 
彼はためらいながら尋ねた。「どうしてお父さんと別れなかったの?」
「なんて質問なの」母は首を横に振った。「ある時期までは選ぶことができるかもしれない。これをするかあれをするか、この人と生きるかあの人と生きるか。でもある日、その活動やその人間が自分の人生になっているの。そうしたら、どうしてその人生を続けるのか、というのはかなりバカな質問でしょ。(後略)
 

 ひとつの短編のほんの数行の母親と息子の会話に、さらっと書かれた生きることの意味。なかなかの作家だと思うゆえんはこんなところにある。
2011年11月 6日 10:29 | コメント (0) | トラックバック (0)
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