冬の日

 ベランダから見上げた空はどこまでも青かった。典型的な冬の晴れた空だ。これまでの、冬とは思えないような陽気に惑わされ、少々軽めの服装で出かけたらしんしんと寒かった。手足の先から師走の寒さが我が身にしみ込んできた。

 駅のそばのATMには長い列ができていた。見ると2台のうちのひとつは使えないらしい。列は遅々として進まない。急いでいなかったので待つことにしたが、日陰の冷え込みが身にしみる。後ろに並んだ人がケイタイで話し始めた。聞く気はなかったが聞こえたので聞いていた。なかなか要領を得た話し方である。顔は見なかったが、仕事のできる人のようだ。用件が済んで、最後の「失礼します」は一段と声を落として(若い人なら、ここでもたぶん声を張り上げるのでは…?)電話を切ったようだ。ふむ、大人だなぁ…と感心した。お顔を拝見しなかったのがちょっと心残り。

 しばらくすると、ATMでは係りの人の点検が終ったのか使用不可の紙もはがされ、次に待つ人が招きいれられた。ところがもう一方のATMは次々と人が流れるのに、そちらの人は動かない。もしや…と見ていると、備え付けの電話でなにやら話している。そうこうするうちに長かった列もさばけて私の番になった。隣の人は電話で、「家の電話番号はこれこれで、ケイタイはふにふにで…」とか何とか言っている。聞きたくはないが聞こえるから聞いていた。

 考えてみれば、聞きたくもない聞く必要もないことをずいぶんと聞いている。雑踏の中であれば流れていくからいいが、囲われた場所では逃れることができない。人様の事情を聞いて楽しんでしまう日もあるが、聞いてくたびれてしまう日もある。先日も、電車の中でのケイタイをめぐる口論で、電車が止まったというニュースがあった。ストレスが更なるストレスを生んだのか…。

 行きつけの歯医者さんでのこと。時々あごで大きな音がすると言うと、先生曰く、「あごの軟骨が磨り減ってくるんです」。ひざの軟骨が磨り減ってひざが痛むという話はよく聞くが、あごの軟骨なんて初めて聞いた。「えぇ…っ?あごの軟骨ですかぁ?」と驚くと、「ストレスも関係します」と。そうかぁ…、ストレスかぁ…と変に納得する。何でもかんでもストレスのせいにすると、案外気が軽くなることもあるのは不思議。

 先日、半年振りくらいで献血に行った。その後の血液検査結果が送られてきたが、15項目の検査結果の数値はみな優等生である。脳や心臓はいざ知らず…。
2010年12月10日 18:40 | コメント (0) | トラックバック (0)
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