串田さんの猫

 「アルプ 特集 串田孫一」(山と渓谷社)を読み終えた。山の文芸誌「アルプ」そのものは知らないが、この本の装丁は当時のままだという。そして「0」の通し番号の、串田孫一追悼(番外)特集号となっている。

 そのなかで「自然の章 季節の手帳」の<『博物誌』1956より>に猫の話が載っている。串田さんが猫好きだったかというとそうではなかったらしい。
 突然舞い込んだ小猫が当然という顔で串田さんの肩に飛び乗って、それ以来「串田さんの猫」になってしまったという。それで可愛がったかというとそうでもないようだ。「腹の立つほどの多量の魚を食べ」、「驚くほどの魚の頭を喰い残し」、「19匹のボーイフレンドを作り」、「見てしまった僕もぞっとするような享楽に耽り」…あげくに3匹のチビを生んだ、と串田さんに言わしめるような猫だったらしい。
 そのチビのうちの1匹は、部屋の戸をあけることができたそうだ。当然あけたらあけっぱないである。そんな猫に対して串田さんは、『お前、ついでに、もう少しお悧口にならない?自分で戸をあけてここへ入って来たんだろう?そうしたら忘れずに閉めるんだよ。後足で閉めたって、そりゃぁいいさ。それが出来たら僕は新聞社へかけつけるんだが…』と猫撫声で言ったらしい。「猫はそれが分かったような顔をするからいやになる」と言いつつも、”猫に好かれた”串田さんである。「猫に好かれた串田さんの猫」の絵も添えられている。多くの人に愛され猫にも好かれた串田さんだったのだ。

 また「芸術の章 青く澄む憧れ」では、元東京エフエム「音楽の絵本」製作担当だった池田宏さんが<音楽の絵本串田先生と共に三十年>という文を寄せている。それによると、衛星デジタルラジオ局ミュージックバードの7チャンネル「ザ・クラシック」で、日曜朝6時から「音楽の絵本」を再放送しているそうだ。
 「音楽の絵本」は「不死鳥の絵本」に化けたみたいだ、と池田さんは言う。平凡社刊の「音楽の絵本」についていたCD(1500回記念放送「冬の記憶」を収録)を聴くと、私は涙が出る。すべてをもう一度聴きたいと私の心は熱望する。(衛星デジタルラジオってどうやったら聴けるのだろう?そもそもここには電波が届いているのだろうか?)
2008年1月21日 9:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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