文房具

 芥川賞の候補作が決まったという。選ばれた7つの作品の著者名はどれも知らないものばかり。その作品も読んでみたいという気にもなれず、芥川賞受賞作・候補作といっても、もう関心も湧かなくなってしまった。芥川賞作品といっても、読んでみようかなと思うのは昔の読みそびれた作品ばかりだ。時代の中心から確実にずれていっている。それが年をとるということなのか…とヘンに納得する。

 昨日は、串田孫一さんの「文房具52話」(時事通信社)を読んだ。文房具好きはいつの時代にもいるけれど、そして文房具コレクションのサイトもたくさんあるけれど、串田さんの選ぶ文房具はいかにも孫一さんらしいし、それにまつわるエッセイも、いかにも「孫一さんだぁ〜!」と思うようなものばかり。読んでいて楽しい。

 ペン先、吸取紙、下敷、カーボン紙、謄写版等々、今ではあまり使われなくなったものもたくさん並んでいる。あれやこれや思い出しながら読んでいるうちに、”あるもの”を思い出した。昔々、父がよくお土産にくれたものである。
 定規のように目盛りがついていて、片方の端には丸いルーペがついていて、反対側の端は細くなっていて定規全体がペーパーナイフの役目も果たす、というなんと名付けていいかわからないもの(12、3cmくらいの長さ)だった。それは会社関係のお祝いかパーティかなにかの席で配られるのか、赤いリボンで作った花飾りが必ずついていた。しかしそのつくりはちゃちなもので(たぶん、素材のせい)、ルーペの部分はすぐに曇ってしまうし、定規の目盛りは読めなくなるし、最後まで働くのはペーパーナイフ代わりの部分だけだったような気がする。
 そんなすぐにだめになるものだったが、すぐにまたお土産にくれるのである。あれはいったい何だったのだろう、もう忘れてしまったが、そのすっかり忘れていたものを思い出させてくれたのは串田孫一さんである。どなたにもお薦めの1冊だ。きっと忘れていた”あるもの”を思い出すに違いない。
2008年1月 7日 8:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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