年に1度は…

 スイカを食べたい。好物というほどではないが、年に一度は食べたいのである。丸ごと1個は多すぎる。カットして売られているのもあるが、おいしそうに見えないので買えない。一口サイズにカットされたものは、買う気にさえならない。これには深いわけがある。私には、スイカは井戸で冷やして食べるもの…という思い込みがあるのだ。思い込みというか、思い出のせいかもしれない。ぜいたくな…というか困ったものである。
 子どもの頃は庭に井戸のある家に住んでいた。田舎でもなければ農家でもない。都会である。まわりには井戸のある家などないのに、なぜか我家には井戸があった。その井戸に長いロープで縛ったスイカを垂らすのである。その頃も好物というほどではなかったが、暑い夏に食べる冷たいスイカのおいしさは忘れられない。
 年に1度は…という想いが募り募って、スーパーでカットしたスイカを買う。ワクワクしながら食べる。そして、スイカってこんな味だったっけ?と、買ったことを後悔する。困ったものである。スイカの季節になると毎年そうだ。それでも、年に1度は…、でも冷蔵庫で冷やしたって…、カットして売っているスイカなんて…、でも年に1度は…と心乱れ、日々葛藤しているのである。

2017年8月 7日 20:08 | コメント (0)