「日本文学100年の名作」より

ペン
第5巻に瀬戸内寂聴・著「霊柩車」が入っています。

この著者の作品は、これまで読んだこともなければ読んでみようと思ったこともありません。「霊柩車」を読んだのは数日前でした。
朝日新聞(8/14)「文化・文藝」欄の<寂聴 残された日々 3 防空壕」を読みました。「霊柩車」では父親のことが、「防空壕」では母親のことが書かれています。そのどちらにも、大空襲の夜、防空壕で焼死した母親のことが書かれています。
「私はもういいんです。いやになった。お父さん、孫たち、頼みます。早う、去て。ほら、もう煙がまく」(霊柩車)

縫いあげたばかりの黒デシンのワンピースを着ていたそうです。
同じ話が「防空壕」にも書かれています。
「阿保!何をしとる!早う出んか!」
父が母の腕を摑むと、その手をびしっと払いのけた母が叫んだという。(中略)言うなり父を強い力で突き飛ばした。

寂聴さんは最後にこう記しています。
言わず語らず姉と私は、日本の前途に悲観して母は自殺したのだと思っている。決断力の強い、少しそそっかしい母であった。


夜8月のこの時期、忘れるな、言い伝えよと世を挙げていわれますが、私は苦手です。苦痛です。でも、この次期に寂聴さんのお母様のことを知ったことは救われた気がします。

2015年8月14日 7:03 | コメント (0)