得意技

 歩くのに最適な季節になった。ちょっと近くの図書館まで行って来ようと家を出た。せっかくだから大きな通りではなく住宅街を歩こう…なんて変な気を起こした。そして…道に迷った。図書館は5丁目にある。駅は2丁目だ。7丁目あたりから住宅街に入った。斜め右に歩いていけばいいはず…だった。
 ところが、いつの間にか9丁目に迷い込んでいた。まっすぐ進みすぎたと思い、大きく右へ進路を変えた。だが、行けども行けども大きな通りに出ないのである。困ったなぁ〜道に迷ったようだ…と思ったが、大きな木が生い茂り高い梢では鳥たちが歌っている。ちょっとした森に迷い込んだ気分だ。
 そこは隣町どころかさらにその隣町だった。必死に頭の中で地図を開く。先へ進んでいてはだめだと、さらに右へ進路を変えた。

 ようやく2車線の道路に出た。案内図も出ているではないか。駅は右へ進めとなっている。しかし右へ行く道はまだ細い路地だ。湧き上がる不安を押さえつけ、右へ右へと歩いた。やがてバスの通る大きな通りに出た。もう大丈夫…とは思ったが、右も左も見慣れない建物ばかりである。しかも道路はアップダウンの連続である。めげずに歩く。やがて、高校の前を過ぎ、公園を眺め、交番の前を通り、図書館に着いた。ゆっくり歩いても30分かからないはずだったのに、1時間も歩くことになってしまった。

 道に迷うのは私の得意技である。そんな人は、昔からの地元の住宅地に足を踏み入れてはならないのだ。朝(9〜10時)だったからいいようなものの、夕暮どきだったらどうなっていたことか………

 …というわけで、図書館で借りてきたのは次の3冊。いずれもドイツ文学。
「逃げてゆく愛」(ベルンハルト・シュリンク著 松永美穂・訳 新潮社 2001年)…「朗読者」が良かったので、同じ著者と訳者の本。
「遺失物管理所」(ジークフリート・レンツ著 松永美穂・訳 新潮社 2005年)…同じ訳者つながりで。
「蟹の横歩き ヴィルヘルム・グストロフ号事件」(ギュンダー・グラス著 池内紀・訳 集英社 2003年)…池内紀さんの訳なら安心して読めそうなので。
2011年11月 4日 19:44 | コメント (0) | トラックバック (0)