梅雨時の読書

 「砂のように眠る」(関川夏央・著 新潮社)を読み始めたとたん、外界の音が消えた。景色も消えた。そこにあるのは本と私だけになった。このような読み方をするのは、本当に久しぶりだった。小説と評論を交互に配した構成は、思いのほかおもしろいものだった。

 確かに、同時代を生きた者としての共感で読んでいた部分もあるが、その時代背景をひとつのポイントに絞って小説として描き出した、作家の腕に感心もした。その時代への郷愁ではなく、その時代の客観的な検証となっているところに、私は引き込まれたのかもしれない。
2009年6月28日 9:25 | コメント (0) | トラックバック (0)